ブラウン管テレビ

家の庭にブラウン管だけになったテレビの残骸が何年も前から放置されている。丸みのある形に愛着があり、なかなか捨てられないのです。

 

ブラウン管はドイツのカール・フェルディナント・ブラウンにより発明され、ビデオモニター、テレビの受像器、コンピューターのディスプレイ、オシロスコープなどに使用されてきました。

 

ゲーム機にもブラウン管が使われている。微妙に遅れるデジタルデレィがないので、一部のゲーマー達に珍重されていたらしい。ぬめり感がありリアル感もある。

 

そんなブラウン管も2015年中には全て生産中止になるそうだ。 日本のシャープとインドにある2社が今年中にブラウン管テレビ生産から撤退するらしいのだ。

 

世界中のブラウン管が製造中止になってしまうということですから、最近はこの3社だけしか生産していなかったのでしょうね。業界によっては液晶よりブラウン管のほうが使い勝手が良いと感じているところもあるのでは。

 

というのはブラウン管は細かな技、利便さで液晶テレビには遥かに及ばないが、写真のフィルムと同じで、究極まで研ぎ澄まされてきた感のある商品です。特に色に関して言えば、個々のバラツキはあったものの、大方安定した色味をしていた。社会、環境の色として安定した地位を築いていた。

 

液晶テレビになってからは、色の自由度が高く、派手で大げさな色付けがされている。自然に近い色とか、物の色の忠実さからかけ離れたものになっている。確かに今の時代には感覚的に合っている気もする。しかし大画面デジタルテレビとコマーシャルの自由な色使いは、人の心にずっとあり続けた自然感をかなり変えたような気がします。わずか10年足らずで。

 

ブラウン管カラーテレビは、白黒テレビから始まった放送方式をそのままに、いかに白黒に色をのせて行くかという努力の結果生まれたものだそうです。カラー放送のインフラを新たに作るのはコスト的にも無理があったのでしょうか。RGBカラーの組み合わせでなく、よくぞここまでブラウン管式のカラーテレビが完成したものだと思います。

 

色やファションで大正ロマンというのがあるが、このごろは、ブラウン管カラーテレビは昭和レトロの代表格の色だったと思うようになった。でも、もうブラウン管には戻れない。視覚が変わったか壊れたか、たぶんブラウン管の色には戻れないでしょう。

 

危険のないように、いつかその中を覗いてみようと思っています。