杉花粉
杉花粉
今年の杉花粉はすごい。車を2時間くらい運転してきたが 泥ハネを浴びたかのごとく薄黄色の汚れがこべり付いている。私はアレルギー体質だが、幸い花粉にはそれほど敏感に反応しない。
多くの人のお腹に回虫など虫がいた時代があった。その頃は杉花粉症などという言葉はなかった。免疫と虫の出す成分の微妙なバランスを保ち、人間と虫の共存共栄が成り立っていた。
第二次世界大戦後、日本に米軍が駐留、統治することになる。そのころ日本は畑の肥料に下肥を使用していた。野菜を食べれば当然虫の卵が体内に入ってくる。お腹に虫が住み着くという図式です。
下肥を使用する習慣のないアメリカからきた兵隊さんにとって、虫をお腹の中に飼うのは初体験となる。多くの兵隊さんたちはたちまち腹痛をおこしてしまった。
それを知ったマッカサー元帥は日本中にお腹の虫の駆除を通達しました。その後、何年かでお腹の虫は人間の体内から消えて行きました。そのことが人間の抗体と抗原、つまり免疫とアレルゲンの関係を変えてしまったのです。
日本では免疫と虫の出す成分とが本当に長い時間をかけ優しい関係をつくってきました。虫の成分が免疫の外敵探査センサーをすっぽり覆っているので、花粉などが体内に侵入してきても全く反応しないのです。人間の体に変化は起きません。
マッカーサーの命によりその絶妙なバランスはある日突然破壊されてしまいました。人間と虫の良い関係が絶たれたのです。
それ以来免疫たちは、杉花粉などの異物が体内に侵入すると、外敵と判断し攻撃を加えます。それがアレルギーの症状として現れるのだそうです。
ブラウン管テレビ
家の庭にブラウン管だけになったテレビの残骸が何年も前から放置されている。丸みのある形に愛着があり、なかなか捨てられないのです。
ブラウン管はドイツのカール・フェルディナント・ブラウンにより発明され、ビデオモニター、テレビの受像器、コンピューターのディスプレイ、オシロスコープなどに使用されてきました。
ゲーム機にもブラウン管が使われている。微妙に遅れるデジタルデレィがないので、一部のゲーマー達に珍重されていたらしい。ぬめり感がありリアル感もある。
そんなブラウン管も2015年中には全て生産中止になるそうだ。 日本のシャープとインドにある2社が今年中にブラウン管テレビ生産から撤退するらしいのだ。
世界中のブラウン管が製造中止になってしまうということですから、最近はこの3社だけしか生産していなかったのでしょうね。業界によっては液晶よりブラウン管のほうが使い勝手が良いと感じているところもあるのでは。
というのはブラウン管は細かな技、利便さで液晶テレビには遥かに及ばないが、写真のフィルムと同じで、究極まで研ぎ澄まされてきた感のある商品です。特に色に関して言えば、個々のバラツキはあったものの、大方安定した色味をしていた。社会、環境の色として安定した地位を築いていた。
液晶テレビになってからは、色の自由度が高く、派手で大げさな色付けがされている。自然に近い色とか、物の色の忠実さからかけ離れたものになっている。確かに今の時代には感覚的に合っている気もする。しかし大画面デジタルテレビとコマーシャルの自由な色使いは、人の心にずっとあり続けた自然感をかなり変えたような気がします。わずか10年足らずで。
ブラウン管カラーテレビは、白黒テレビから始まった放送方式をそのままに、いかに白黒に色をのせて行くかという努力の結果生まれたものだそうです。カラー放送のインフラを新たに作るのはコスト的にも無理があったのでしょうか。RGBカラーの組み合わせでなく、よくぞここまでブラウン管式のカラーテレビが完成したものだと思います。
色やファションで大正ロマンというのがあるが、このごろは、ブラウン管カラーテレビは昭和レトロの代表格の色だったと思うようになった。でも、もうブラウン管には戻れない。視覚が変わったか壊れたか、たぶんブラウン管の色には戻れないでしょう。
危険のないように、いつかその中を覗いてみようと思っています。